コラム・平成18年度坂口医院勉強会を終えて

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平成18年度坂口医院勉強会を終えて



 平成18年6月17日に当院主催の患者さん方への第3回の勉強会を上述の内容で長居ユースホステルの会議室で開催しました。今回は私の講演とともに私が長年主治医として診療させていただき、最後にはアメリカUCLA病院での心臓移植のお手伝いもさせていただいた平美樹さんをお呼びし、ご講演をいただきました。平さんは白血病、白血病治療薬による薬剤性心筋症、脳出血等多くの病魔と 20 年近く闘ってこられ、最後には心臓移植を受けられ奇跡的に乗り越えてこられた方です。講演会当日は前日の天気予報がはずれ大雨となってしまいました。しかし、120~130名の多くの方が雨の中参加していただきました。ご参加いただいた方々には本当に感謝しております。ありがとうございました。また、この講演会のお手伝いをいただいた当院のスタッフ、関係者の方々にも御礼申し上げます。

 当日は私がまず最近マスコミによく登場していていた“メタボリック症候群”について講演させていただきました。メタボリック症候群は内臓肥満が源流にあり、生活習慣病から動脈硬化が進みやすく、脳卒中や心筋梗塞などの危険が高い病態であり、内臓脂肪の細胞から出てくるアディポネクチン(動脈硬化を抑制する作用がある物質)が分泌されにくくなることが一つの原因であると説明させていただきました。また、内臓肥満の指標である腹囲の診断基準で女性の 90cm 以上は外国の基準から比べて甘すぎる可能性があり、80cm 以上にすべきかもしれないと議論されていること、治療として現在特効薬はなく、内臓脂肪を減らすには食事運動療法が重要であることも説明させていただきました。できるだけ分かりやすく説明させていただいたつもりですが、どれだけ理解していただいたか少し心配です。疑問がありましたら外来時に遠慮なくご質問ください。また、メールしていただいても結構です。

 平さんの講演の前に平さんのことをよく知っていただくために、平成18年4月に放送されたテレビの報道番組である“ニュースアンカー”の特集の VTR を流させていただきました。さすがにプロの編集だけあって非常にまとまっており、なかなか感動的にできていましたので、平さんの講演の前に流すのはうってつけだと考えていました。その後、平さんにお話しいただいたのですが、次々とおそってくる病魔との壮絶な戦い、そしてなんとしても生きるんだという強い意志が伝わってくるいい講演であったと思います。いろいろな病気と闘っておられる方々には励みになる講演であったと思います。私も彼女の長年の闘病に付き合ってきたこともあり、元気に講演されている姿に涙せずにはいられませんでした。また、最後に平さんのお母さんが闘病を長年支えてきた家族として挨拶をしていただきました。闘病を支えるご家族の計り知れない心労は大変なものと思いますが、平さんのUCLAでの心臓移植の実現はお母さんの力なくしては不可能であったと思います。本当にご苦労さまでした。

 この会は平成15年に平さんのお母さんに海外での心臓移植の手伝いを依頼されたときから、心臓移植が実現し成功したときには話をしていただく機会を持とうと考えていた講演会でした。実現できて本当にうれしく思っています。今後も皆さんのお役にたてる会を企画していきたいと思います。

(平成18年7月  坂口 好秀)