コラム・血圧変動性

血圧変動性

2013年6月

高血圧診療の分野で最近、どれくらい血圧を下げるのかという量的な血圧管理に加えて血圧変動を改善する質的な血圧管理も注目されるようになっています。血圧変動には夜間高血圧や早朝高血圧などの1日の中の変動、外来受診する度の診察室で測る血圧の変動、家庭で測定している血圧の変動等下記の様な種類があり、様々な原因で起こるとされています。

血圧変動の強い方は動脈硬化がより進行し、血管が硬くなっている方に起こりやすいと言われており、上述のように血圧変動が大きければ大きいほど将来の脳卒中などの心血管病による死亡率が高いとされています。従って高血圧を管理していく場合に単に血圧の値が正常になったというだけでなく、たとえば家庭で血圧を測っている場合には測定ごとの血圧の変化が強くないかも大切です。高血圧の薬の中にはより血圧の変動性を改善する作用の強い薬剤もあり、血圧変動の強い場合にはそのような薬剤を使用し、血圧の値だけでなく変動性を改善するのも重要になります。当院では時には特殊な夜間の血圧も測ることのできる血圧計を貸し出すなど様々な血圧変動性を評価し、単に血圧を下げるだけではなく血圧管理の質的な改善を目指した高血圧診療を行っています。