コラム・高血圧の診断基準・治療目標値
高血圧の診断基準・治療目標値
(高血圧治療ガイドライン2019から)
2019年5月
どれくらいの血圧から高血圧なのか
新しくガイドラインが改定されました。米国では高血圧の基準値が130/80mmHgに引き下げられましたが、本邦では140/90mmHg(家庭血圧では135/85mmHg)に据え置かれました。ただし、下記の様に至適血圧が正常血圧、正常血圧が正常高値血圧、正常高値血圧が高値血圧と名称が変更になっています。
成人における血圧値の分類(JSH2014との比較)
分類 | 収縮期血圧(mmHg) | 拡張期血圧(mmHg) | ||
---|---|---|---|---|
正 常 域 血 圧 |
正常血圧(至適血圧) | 120未満 | かつ | 80未満 |
正常高値血圧(正常血圧) | 120~129 | かつ/または | 80未満 | |
高値血圧(正常高値血圧) | 130~139 | かつ/または | 80~89 | |
高 血 圧 |
Ⅰ度高血圧 | 140~159 | かつ/または |
90~99 |
Ⅱ度高血圧 | 160~179 | かつ/または | 100~109 | |
Ⅲ度高血圧 | 180以上 | かつ/または | 110以上 | |
(孤立性)収縮期高血圧 | 140以上 | かつ | 90未満 |
どれだけ血圧を下げるべきなのか
今回の改正で降圧目標値が引き下げられました。下記のように75歳未満の成人では診察時血圧130/80mmHg未満、家庭血圧で125/75mmHg未満、75歳以上の高齢者でも診察時血圧140/90mmHg未満、家庭血圧で135/85mmHg未満とより厳しい血圧管理が勧められています。
降圧目標(JSH2014との比較)
診察室血圧 | 家庭血圧 | |
---|---|---|
若年・中年・前期高齢者患者 | 130/80mmHg未満 (140/90mmHg未満) |
125/75mmHg未満 (135/85mmHg未満) |
後期高齢者患者 | 140/90mmHg未満 (150/90mmHg未満) (忍容性があれば140/90mmHg未満) |
135/85mmHg未満 (145/85mmHg未満) (忍容性があれば135/85mmHg未満) |
糖尿病患者 CKD患者(蛋白尿陽性) 抗血栓薬を服用患者 |
130/80mmHg未満 | 125/75mmHg未満 |
CKD患者(蛋白尿陰性) 脳血管障害患者 (両側頚動脈狭窄や脳主幹動脈閉塞あり、または未評価) |
140/90mmHg未満 | 135/85mmHg未満 |
脳血管障害患者 (両側頚動脈狭窄や脳主幹動脈閉塞なし) 冠動脈疾患患者 |
130/80mmHg未満 (140/90mmHg未満) |
125/75mmHg未満 (135/85mmHg未満) |
※カッコ内が2014年のガイドラインで示されていた降圧目標で、赤の部分が今回の改正された部分